0人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
浮気現場を見た。
次の日わたしはやわらかく彼に誰と一緒にいたのか聞いた。
ああ、彼女と平然と答える彼にわたしは自分が何か分からなくなった。
「お前が一番好きだから」
うそ臭い言葉を信じ込んだダメなわたしは何も言わずそのまま彼と付き合い続けた。
一年後、また彼と彼女を見た。
お腹の大きくなった幸せそうな彼女と見たことのない顔で笑う彼。
わたしが浮気相手だったことをはっきりと感じとれた。
奪い取ろうとは少しも思わなかった。わたしは気付かれないよう彼の近くによると思い切り彼をひっぱたいた。
驚いてわたしを見た彼女に笑顔でおめでとうございます、と言うとその場を去った。
恨んでいなかったし彼女には本当に元気な赤ちゃんを産んでほしいと思った。
けれどわたしなりの小さなけじめをつけたかった。
前に進むために。
最初のコメントを投稿しよう!