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私はあのまま、流れ行く星をみながら世が明けるのを待った。保名さまに伝えなくては…。
私は、空き屋へと戻った。家に入ると、保名さまが柱に寄りかかって眠っていた。あれからずっとここで待ってくれたのだろう。私は、そっと保名さまに近づき手を伸ばして保名さまの頬を触れる。保名さまは、静かに目を開けて、
「葛の葉どの。」
と微笑んでくれた。私の愛しい人。このヒトについていきたい。私は、保名さまに、
「昨夜のことですが、私を連れて行ってくれますか?」
と告げる。その言葉に驚いたのか、
「本当に?私について来てくれますか?」
と保名さまは真面目な顔で言う。私は、少し頬を赤らめて、
「はい。側に居たいと思っております。」
と言うと、保名さまの腕が伸びて私を抱きしめ、
「ありがとう。」
と囁いた。
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