二章

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祭り、と聞いてリンは首をかしげた。 「今夜は年に一度の感謝祭なんです。 この町に豊をもたらしてくれた 海に感謝をするんです。」 その説明を聞いてリンは あぁ、と声を上げる。 「そう言われてみれば もうそんな時期ね、海祖祭。」 「ご存知だったんですね。」 少し驚いているルイだったが、 逆にリンは不思議そうな顔をする。 「当たり前よ。 だって、私は国を治めていく為の 勉強をしてきたのよ? それぞれの町や村の行事や 歴史なんかも習ったわ。」 「……………そうでしたね。 失礼しました。」 「それで、今日が海祖祭なのね?」 「はい。 海辺にある祠の近くには縁日が出て、 とてもにぎわうんですよ。」 楽しそうに語るルイ。 それが何だかおかしくて、 思わずリンは笑ってしまった。 「……………? どうかしましたか?」 「…ふふ…………何かルイさんがおかしくて。」 リンの言葉にルイはただ首をかしげた。 「……………俺が、ですか?」 「だって…………………、 すごく楽しそうに話すから…………。 お祭り、好きなんだな、って…………。」 そう言ってまた笑いだしたリン。 ようやく笑われた理由が分かったルイは 恥ずかしそうに少し顔を赤くした。 「い、いいじゃないですか! もう、大人わからかわないで下さい!」 「…………ふふ…………………… あはは、ごめんなさい。」 謝っておきながら、 しばらくは笑いが収まらないリンであった。    
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