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少女こいし Part5
私達の能力は
言うまでもなく危険なものだった
思考を読まれて嬉しい人間など
おそらくは存在しないから
だから程なくして
こいしが泣きながら帰ってくることも
私にはわかっていた
こいしは私と違って口が軽く
そして嘘をつくことも知らなかったから
どれだけなぐさめても
どれだけ言葉を重ねても
こいしが泣き止むことはなかった
すでに言葉が尽きてしまった私には
「今日はもう寝なさい」
そんな
なんの解決もなさない言葉しか
かけてやることが出来なかった
部屋に篭もったこいしの
その悲痛な『声』は
それからもずっと響き続けていた
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