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「ケチ!
じゃあ、あの大きなヘンテコな花は何?
その、黒い蛇は?」
好奇心旺盛なパンドラ、つまり、アーチャーは文明の機器に興味津々の様子だ。
「ちょっと、パンドラ!
やめて―――」
篤は、大切なカメラを好き放題にいじりまくっているパンドラに悲鳴の様に怒鳴った。
「なによなによ。
別にいいじゃない。
あと、私を呼ぶときは、アーチャーとよぶこと。
じゃ、篤が意地悪だから、私がアーチャーたる由縁を思い知らせてやるんだから――」
言うやいなや、アーチャーは懐から、掌に乗るほどの大きさの匣を取り出した。
それは、本物の災厄の詰まった匣だった。
「災厄の匣(パンドラ・ボックス)――」
呟いたときのアーチャーの顔は、黒い笑みを浮かべていた。
匣から黒いものが飛び出し、アーチャーにまとわりついた。
アーチャーにまとわりついたものは、災厄を呪いに変換したもの。
そして、聖杯によってアーチャーにコントロールできるようになっている。
篤は左腕を、アーチャーを抑止するようにあげた。
その左腕には、マスターの証の令呪が浮かんでいる。
「や、まって、うん。
今、そんなもの出さないで―――!」
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