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「お父さん。
私、ボディーガードをつけることにしたわ」
南林寺家のディナーの時間、その一言が場を浄化するように静めた。
言葉を発したのは、長女の睛。
「分かった。明日までに手配してお……」
「違うわよ。私が雇ったの。
……さあ、はいって」
大広間のマホガニー製の扉を開けて入ってきたボディーガードは、わかい男……。
その男は、長い槍を持ち、浅葱色の羽織袴を着た、なんとも時代錯誤な男。
跪いて、大声で自己紹介を始めた。
「拙者、ランサーのサー……」
男の自己紹介は、急に遮断された。
原因は、睛が男の口を急に押さえたからだ。
「ちょっと待ってね、お父さん」
何かを含んだ笑みを浮かべながら、睛は男を引っ張り、廊下へ連れ出した。
「ちょっと、ランサー!
一般人に分からない言葉使わないで、本名を名乗りなさい」
睛は、ランサーに命令した。
しかし、ランサーは真剣にこう告げた。
「しかし、もし、睛殿の父上がマスターだったら、真名を告げるのは弱点を晒すことになってしまうのでは……」
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