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睛は眼鏡を外して、夕食を摂っていた部屋へ戻る。
何かを覚悟したときの睛の癖だ。
「じゃあ、行くわよ」
「やれやれ、仕方がない」
なにか、微妙な笑みを浮かべたランサーは睛が歩き出すより早く駆け出した。
「あ、ちょっと……」
睛もあわてて追いかけるが、さすがにランサーのサーヴァント。
サーヴァント随一の跳躍力には、敵わない。
そんなわけで、睛が部屋に追いついたときには、固い扉は穿たれ、机は真っ二つに、スープは飛び散り、食器は破片と化していた。
「お前なんか認めん!
この、原田佐之助のコスプレ野郎が!」
槍を突きつけられた、睛の父親が醜く呻いていた。
「そうかそうか、」
ランサーはケタケタ笑い――
「ならば、我が種田流槍術お主の身体で魅せてやろう」
冷酷な目でにらみつけた。
その目付きは、幾百もの闘いを切り抜けてきた、しなやかかつ、凶悪な目付きだった。
「ちょっと!何してんの?」
「おお!」
二人の、槍を突きつける男と、突きつけられた男が同時に叫んだ。
「いやはや、睛殿の父親が中々しぶとくてな、我が槍術をご覧に……」
「ひとみ~助けてくれ!」
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