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炎すらも凍てつかせてしまいそうな和泉の目は、俺たちに…いや、育海に向けられていた。
「いず………み……?」
擦れながらもしぼりだした言葉が届いたのか、和泉は口を開いた。
「育海ちゃん……最低ね……。」
そう言って出ていってしまった。
残された俺たち、育海は何かにじっと耐えているようだった。
なぜ非難の言葉が育海だけにおくられたかも、なぜ同性愛に偏見がない(はず)の和泉から非難されるのか。
さまざまな疑問だらけだったが、ただ一つわかるのは
和泉の目が冷たいながら、とても寂しそうだったことだけだった。
「わりぃ、ちょっと和泉探してくるわ。」
「よろしく、仁。育海のほうはまかせろ。」
「おぅ。」
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