白夜

青い白夜
木々の青と
流れる青い透度､
奧に通る青い葉の断片
踊り

底へ底へと続く水没した透明洞窟
幾つもの分岐
失われ行く酸素
戻ることができなくなってから
頭をよぎるのは後悔ばかりだった

青い白夜
街を走る少女はいつも微笑んでいたが
まるで絵空事のように希薄
重なる色や焦点
ひとつひとつにずれを生じ
けれどそこにはひとつとも落ち度もない
そんな白夜の街があった

底へ底へと続く水没した洞窟
幾つもの分岐
失われ行く酸素
失われ行く酸素
光が漏れるのが見えた

緑の森
木々の緑も映す湖は
木濡の日を反射させながら
その中央
小さな波紋をつくった
幾多の探索者を飲み込み
二度とそれらを返さなかった湖から
人はひとりが現れたので
一時 森は騒然となった
｢ねっ､繋がったでしょ!?｣

跳ねまわる少女は白夜の街の面影
しかし別人だった
生命力の素足は
岸辺の水を
踏み付け撥ね上げて向かって来る
夏の陽の街の少女

青い白夜の街があった
青い白夜
木々の青と
流れる青い透度､
今もそこを流れ
踊り

踊り続けて