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ここは…?
…あぁ、僕、夢を見てるのか。
ぼんやりと。周りを見渡してみる。…赤い?
『…っ!』
足下には、彼岸花。
真っ赤な、花。
…なんて夢を見てるんだ、僕は…
あぁ、あの砂時計を見ながら寝たせいか。
『それにしても…彼岸花って、こんなに綺麗だったんだな…』
今までしっかり見なかったせいかもしれない。ただ、ものすごく綺麗に見えた。
『…ん?』
ふと、何かの気配を感じて振り返る。
…誰か、いる。
『…人の夢に土足で踏み込むなんて…最悪だな』
人影は、ゆっくりと近付いてくる。だが、おかしい。近付いてるはずなのに、顔が一向に見えてこない。
『…さすがに気持ち悪いな…』
とりあえず逃げようと。
動き出そうとした、瞬間。
「ぎゃあぁぁっ!!!!」
人のものとは思えない叫び。まさに、断末魔とはこの事だろう。
目の前で、血を噴き出して死に逝く‘ヒト’。
その血は咲き乱れる彼岸花に降り注ぎ、尚更綺麗な赤を生み出す。
『うわっ…!』
血を浴びた彼岸花は、まるで意思を持ったかのように動き始め、今まで生きていた‘ヒト’を…
喰らい始めた…
そこで、僕の意識は遠ざかった…
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