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…ウト…
ユウト…
…誰だ?僕の名前を呼んでるのは…
《マタ、ヒトリ、キエル》
…!!お前…!
《モウ、ニゲラレナイヨ、ユウト》
何なんだ…僕が何をしたって言うんだぁぁあ!!
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『…悠斗!大丈夫か!?』
はっと目が覚めると、そこには涼夜がいた。
僕はベッドに寝かせられていて…どうやらここは保健室のようだ。
『教室で急にぶっ倒れたって聞いたから…焦ったぜ。だから無理するなって言っただろ?』
『ん…ごめん。大丈夫だと思ってたんだけどね』
『全く…無理するのは昔からの癖だな。どうする?このまま帰るか?どうせ後2時限しか無いし』
『え…もしかして今、昼休み?』
『そうだぜ。お前が帰るって言うならついでに俺も帰っちゃうけどな♪』
どうやら涼夜は人をダシにしてさぼりたいらしい。
よっぽど残りの2時限が嫌なんだろうな…と思いつつ、僕自身もこのまま授業を受ける気にはなれなかった。
『僕…帰るよ』
『そっか、じゃあ先生に言ってきてやるよ。ついでに鞄も持ってきてやるからおとなしく待ってろよ?』
そう言って涼夜は保健室を出て行った。…つくづく気の利く幼なじみだと思う。
一時期嫌いだったのが嘘みたいだ。
あれは5年くらい前だっただろうか。
確か些細なことで喧嘩して、絶交寸前までいったんだっけ。
涼夜なんて大嫌いだ!とか言って…今思えば酷いこと言ったなぁ…
仲直りできて良かったな…こんないい友達、なかなかいないからな…
《ホントニ?》
『え?』
声が聞こえた。
…あいつだ。
《アイツハ、トモダチナノ?》
『お前…また出てきたのか!そうだ!涼夜は僕の大切な友達だ!親友だ!』
《………》
あいつの気配はすぐに消えた。…何なんだ。
『悠斗!お待たせ!帰ろうぜ!』
入れ違いのように涼夜が戻ってきた。…それにしても、よく教師は涼夜が一緒に帰ることを許したな。
『うん…帰ろう』
『歩けるか?』
『大丈夫、それくらいはできるよ』
『辛くなったらおんぶしてやるからな』
『い、いいよ恥ずかしい…』
そんな会話をしながら、僕と涼夜は帰路についた。
こうしていると、つい昨晩起きた惨劇が嘘のように思える…
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