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家に入る前に、涼夜を庭に連れてくる。
…そう、母を埋めた場所に。
『…悠斗、これ…お墓?』
『…そう。僕の…母さんのお墓』
涼夜はしばらく絶句していた。あんなに親しくしていた人間が、今はもういないなんて…信じられないんだろう。僕だってそうだ。
『…しばらく見てないとは思ってたんだ。それこそ、半年くらい。でも、まさか亡くなってたなんて…』
堪えきれない涙を零し、嗚咽を漏らす涼夜。僕もあの日のことを思い出し、涙を流す。
『悠斗…なんで言わなかったんだ!?俺はそんなに頼りないか!?おばさんが亡くなったって知ってたら俺は…!』
『…涼夜…それは今説明する…僕の部屋に来て…』
2人で泣きながら家に入る。
涼夜にとっては久しぶりの僕の部屋。
『…変わってないな』
『…うん。模様替えとか、あんまり好きじゃないから…。…じゃあ、話すね…』
さぁ話そう、と思った時。涼夜が待ったをかけた。
『…悠斗。ごめんな。でもちょっと待ってくれ。その砂時計…いつからあった?』
『…え?』
どうして涼夜にこの砂時計が見えるんだ?
僕にしか見えないはずなのに。
おかしい。あの日からどこかがおかしい。
『涼夜…これ、見えるの?』
『見えるも何も…お前、そんなの持ってたのか?何か気になったから聞いてみたんだけど…』
『…なぜ涼夜に見えるかはわからないけど…最初から話すね』
それから僕は10年前にこの砂時計と出会ったこと、彼岸花の夢のこと、母親の死のこと、謎の声のこと…全てを涼夜に話した。
『…そんな…そんなことって…』
涼夜はただ唖然としていた。無理もない。僕だってこんな話をされたらそうなるに違いないのだから。
…しばらくして。
『…悠斗』
『…ん』
『…嘘だって言ったら怒るからな』
『…嘘じゃないよ』
『…うん。その目は本当だな。…しかし…どうしたもんかね…』
『あいつが涼夜のことを殺し損ねたから…半ばやつあたりなのかな…』
『簡単に人の命を奪いやがって…何様のつもりなんだ!そいつ、いつか悠斗も殺す気だぜ!絶対にさせるもんか!』
『涼夜…』
嬉しかった。
ここまで僕のことを思ってくれているのと、話を信じてくれたこと。
両方とも、嬉しかった。
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