四章

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私の言葉に目を見開く綾那。 「……いいの?」 「ん?何が?」 綾那の口から零れる疑問に首を傾げた。 「私が恋人でいいの?…律に人が近づくのを嫌がってもいいの?」 声を震わせながら問い掛けてくる綾那に頷き、苦笑する。 「うん勿論…というか嫌がってくれないと悲しいかな」 そう言って、少し乱れている髪を整える様に撫でる。 撫でられるのが気持ち良いのか綾那は笑みを浮かべ目を細める。 「良かった…嬉しいよ律」 「私も嬉しいよ綾那」 二人、笑顔で見詰め合う私達の間に穏やかな空気が流れる 綾那と両想いになれた事を喜ぶ気持ちが心の大半を占める中、微かに残っていた叶わなかったあの子への気持ちを消去していく。 その事に寂しさを感じるのは綾那への裏切りになるのかな?それでも長年、心の内に在った想いだから…私を見詰めて微笑み綾那に心の中で謝る。 そしてその想いに別れを告げ、これからは綾那を大切に愛していくと自分自身に誓う。 まだ先の事は分からないけど…ケンカする事も、泣かしてしまう事もあるかも知れない。 同性愛だという事に辛い思いもするかも知れない… それでも…二人で歩いて行こうよ? 私は頼りない恋人かもしれないけど…一緒に手を繋いで歩いて行きたい。 だから素直な気持ちを綾那に伝えていくよ…これからずっと。 「綾那…大好きだよ」 End
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