一章

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そんな私達を見て要はクスクス笑っている。 「あぅ…」 今だ赤面中の遊月に笑いかけて、私と要は先程と同じ自己紹介をしたのだった。 それから三人で雑談していると先生が入って来て、HRが始まった。 「皆さんおはようございます」 そう挨拶したのは河野 真智子先生。 国語担当の二十代後半の優しい雰囲気を持った先生。 一年の時も国語を見てもらっていた、今年度は私達の担任となったそうだ。 「…で、新学期に合わせてこのクラスに転校生が入ります」 ザワッとクラスがざわつく、珍しい…この高校に入って転校生なんて初めてだ。 「結城さん入って来て」 先生の呼び掛けでドアが横滑りに開く…そうして入って来たのは、全体的にほっそりとした体型にストレートの腰位まである黒髪の綺麗な子だった。 ざわついていた教室がシンと静まる。 男子のボウッとした表情に苦笑が沸き上がる。 転校生が先生の横に並び、一度クラス全体を見渡してから 「結城 綾那です、皆さん宜しくお願いします」 そう言ってお辞儀をした。 頭の動きにつられ、サラサラとこぼれる髪が綺麗だった。 「結城さんの席は廊下側の一番後ろね、山名」 結城さんに席を指示してから、先生が私を呼んだ。 「はい?」 「結城さんの校内案内お願いできるかしら?」 「いーですよ」 了承するとニッコリと微笑むと「ありがとう、お願いね」と言い結城さんに席に着くよう言った。
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