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心の奥底に沈めていた物の蓋が少し開く…そこにいたのは自分自身…
愛を求めて…蓋をこじ開ける。
(恐れてばかりじゃいけないんだよ…恋愛に異性同性の差なんてない…ただ一歩を踏み出すか出さないかだろう?)
………うん………
(少しずつでいい…自分の気持ち認めて進もう?)
ココロの中のもう一人の自分が…私に手を差し出す。
私は恐る恐る…その手を握り…手を引かれ立ち上がる。
(…頑張れ)
もう一人の私はそう言って、光の粒となり消えた…いや…私と一つになった。
そうして…私は綾那への恋心を自覚して認めたのだった。
「…っ…律!!」
己の中に沈んでいた私は綾那の呼び掛けにハッと意識を戻す。
「あ…あぁ…ゴメン綾那、少しボゥーとしてた」
視線を綾那にやると、私の目に映ったのは心配そうにこちらを見る綾那。
「本当にボゥとしていただけ?体調が悪かったりしない?」
「ないない、全然大丈夫だよ」
綾那の問い掛けに、笑顔で答える。
「それならいいけど…ねぇ?それで律は近くに来てくれないの?」
私の顔をジッと見て納得したのか表情を変え、伺うように聞いてくる。
「…行くよ、綾那の傍に」
一瞬の逡巡の後、私は笑顔で頷いた。
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