始まり

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 振り向くと目の前には女がいた。  栗色の前髪を見せびらかすように揺らし、ポニーテールの尻尾な部分を肩から覗かせ、にこりと微笑んだ女がいた。 「何をしているんですか?」  強い語調で女は言った。  俺はまあ、正直に答えることにした。 「自殺するんだ。死ぬんだよ! 飛び降りて。頭をぐちゃっと潰してね」  興奮覚めやらぬ俺は鼻息を荒くしながら説明してやった。そしてフェンスに手をかけた。 「うぉふっ!?」  すると突然女が俺の制服を掴み、フェンスからひっぺがし、ひっぺがした俺を背中から地面に打ちつけた。 「な……何……を?」  呼吸も困難な状態だがそれでも声を絞り出す。 「あなたに死なれてもらっては困ります」  ……これが俺と彼女の出会いだった的な展開だなー、とねっころがりながら俺は思った。
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