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剣が爆ぜ消え、蒼い光の柱が吹き上がり、膨大な力にこの世界が崩壊してゆくのが分かる、自分が<現実>に向かって落ちてゆくのも…
力をほとんど使い尽くし、落ちてゆく中、(このまま彼女の欠片を持って現実に帰るのならそれも悪くない)そんなことを思っていた。
それが甘い考えだと気づかされるのはそのすぐ後だというのに…
突如力が少し抜けてゆくのを感じた…しかも彼女の人格を形成していた部分の力が…
その後起こったことは
残酷な奇跡としか言いようが無い…
最悪の…結末…
彼女が、蒼い影のような姿を纏って現れた。
俺は、状況が良く理解できないまま彼女を引き寄せようと手を伸ばす…すると彼女も手を伸ばしてきた…
もう少しで触れる…というところで…突如彼女の…
崩壊が始まった
(崩壊)とするに相応しい勢いで、手足の先から消えてゆく…
しかし、彼女はそれを予測していたように落ち着いていた…
ただ…触れることのできなかった腕を少し寂しそうに見つめ
少し悲しそうに
「おい…」
じっと
「やめろ…」
俺の眼を見つめ
「お願いだ…!」
最高の笑顔を見せて
「ありがとう」
と言った
俺は絶大な力を手にしながらまたも彼女を救えなかった。
水滴が目の前を飛んでゆくのが最後に見えた…
自分が泣いていると気づいたのは装置の闇の中で嗚咽が漏れてからだった……
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