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数秒がたち意識が回復し追撃がないと思い、残った力で眼を開けると、俺の顔の両脇に手を付き、覆いかぶさるような姿勢をとった…
リディアの…顔が見えた…
現状を残酷なまで理解する思考、ほぼ同時に冷静さを無くしてゆく思考。
彼女はその身を盾に俺を庇いながら、哀しそうに笑って…
「………」
何かを…言った
「…え?」
俺の間の抜けた声に返事を返すこともなく…
彼女は消えていってしまった
奴の、カークの嘲笑いが聞こえる…音が随分遠い…
どこで嗤ってやがる?奴はどこだ?奴を倒さなきゃ……
何故倒さなければならない?
任務だから…
誰に与えられた任だ?
あの男に…
なぜ与えられた?
もう一度ここに来るために…
では、何故ここに来ることを望んだ?
…それは彼女を、リディアを救うために…
ならばそのリディアは…
どこだ…?
咆哮が爆ぜる、涙が溢れたのを感じる。
そして崩れ落ちたリディアの光が体に触れた時、頭の中にメッセージが聞こえた…
[システム管理AI name/リディア]の権限を受け継ぎますか?Yes/No
そのメッセージに俺は「リディア」の…最後の一欠片を…右手に握りこめながら…
「Yes」と…望んだ
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