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「鬼兵隊に入れてよ」
そう言えば呆れられ笑われ馬鹿にされ、女が来ていいとこじゃねぇよ、とゲラゲラ笑われてしまった。総長に会わせてよ、と言っても全く聞く耳を持ちやしない。高杉さんは塩ラーメン食いにいってんだよってオイ何だよそれ。下っぱAからZ以上は確実な人数に取り囲まれ、その中の一人に胸ぐらを掴まれる。
「ガキは母ちゃんの乳でもしゃぶってな」
そして、どん、と突き飛ばされ尻餅をついてしまった。あ、制服、スカートが。何してくれてんのコノヤロー泥ついちゃったじゃないか、クリーニング代払え馬鹿。ていうか何勝手に人のスカートん中覗いてんの色気ねえなとかこれから族に入ろうとしてる奴に色気もクソもないでしょうが謝れ謝ったら許してやらんでもない。
と思ったときにはもう遅く、ついつい手が出てしまっていた。胸ぐらを掴んでいた相手を一発殴って、K・O。うーん、弱すぎる。そのまま大勢が何やら叫びながらこちらに向かって来るのを避けてかわして殴って蹴って。バットは反則だと思ったからへし折ってやった。鉄パイプも反則だと思ったから捻り切ってやった。次第に男たちの顔色が悪くなっていくのがわかる。視界の端からちらほらと逃げていく奴は追わず、それでも向かって来る奴には正義の鉄拳を振るう。頬に付着した返り血を袖で拭い、次、と辺りを見渡すと、既に立っているのは私だけで、死屍累々といった悲惨な状況だった。あー、やっちまったなあ。いやー、これじゃあ流石に鬼兵隊に入るのは無理かなあ。
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