吸考ポンプ

3/38
前へ
/102ページ
次へ
「敦は、昭和の人間みたいだな。」 あぁ、自己紹介を失念していた。 僕の名前は敦だ。 特に教えておく必要もないけれど、これは僕の物語だし、僕はあなた達に語りかけているのだから、語り手で主人公である僕の名前くらい紹介しておこう。 いや、お嬢さん、指摘をありがとう。 あなたは私達じゃなくて「きみ」という恋人に語りかけているじゃない。 ごもっとも。 しかしその方が僕も話しやすいのでこの形をとらせてもらっているのであって、混乱させてしまったのなら謝らさせていただく。僕は「きみ」に語りかけるし、あなた達に語りかけるし、自分自身にも語りかける。 物語に戻ろう。
/102ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加