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『もしもし、』
電話に出るのが早すぎただろうか。
声が緊張してなかっただろうか。
この間にも俺の頭はフル回転で、
「もしもし?んふふ…なんなんですか、あのメールは。」
そんな考えさえも消してくれる、耳元で聞こえるこの声と舌っ足らずな話し方。
『見たらわかるやろ?
撮影延期でオフになってん。』
「んふふ…せやからぁ、だからなんなん?」
『だから暇や。』
「もー、ほんまに素直やないんやから。
…じゃあ光一さんちに行ってもええですか?」
待ちに待っていたこの言葉。
俺の大好きな言葉。
『おん、別にええよ。』
それに対して不器用な俺の言葉。
気の利いたことが言えない自分が本当に嫌になる。
そんな俺に素直に愛を伝えてくれる剛が少し羨ましい。
「んふふ…
ほなすぐ行くな?」
そう言って切れた電話。
携帯を置いて、
あまり散らかってない部屋に、掃除機をかけながら考える。
--たまには甘い言葉の一つくらい言ってみようか。
それで君の嬉しそうな笑顔が見れるなら、
そうだ、
頑張って思いを言葉にしてみよう。
今の俺なら君のために変われる気がするから。
『剛、
……好きや。』
*一行メールに込めた思いを口に、
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