14836人が本棚に入れています
本棚に追加
―――コクッ
顔を真っ赤にして水樹は頷く。
「いや何で照れる」
「だって、私がこのような可愛らしい物を…欲しがるのは…変じゃないか?」
「まず水樹がどんな人なのかもあまり把握してないから変じゃねーかって言われても。それに、女の子だったら普通の事でしょ、こーゆーの欲しがるのは」
こんこんと親指でゲージ越しにつつくと、ぬいぐるみを見て唸る程考えている。
ここは取ってあげるべきなのか。
まぁどうせ今日限りだし、挑戦してみようかな。
「よっしゃ見てろ水樹、ゲーセンってのを教えてやる」
ボフッ
「……えー……あぁ、これ。あげるよ」
え、えっと…見事一発でした。
これが俗に言うまぐれ。
まさか取れるなんて思って無かった。正直喜びたい。
「い、今のはどうやって取ったのだ!それとこれは渉が取ったものだろう?」
「俺はいらないよ。ほら、初ゲーセンのお祝いにどうぞ」
これから先、水樹とも関わらないだろうな。
だって会長様と一般人なんだから。
せめて今日くらいは夢みたいなシチュエーションを楽しんでおこう。
「…ありがとう。友人から貰うのも嬉しいものだな……」
『大事にする』と、クマさんをギュッと抱き締め、優しく微笑んだ水樹。
友人、か。
「そんなんで良ければいくらでもやるってのに」
「私からすれば…嬉しい事だ…」
最初のコメントを投稿しよう!