春は気持ちが良い

2/5
14835人が本棚に入れています
本棚に追加
/386ページ
「間に合った…」 走って走って学校の門をくぐり、新一年生の多さに緊張しつつ上履きに足を入れる。 少し歩いてクラスを確認するためにガヤガヤと賑わう掲示板のもとへ。 ここで軽く自己紹介。 俺は桐島渉(キリシマワタル)。 どこにでもいる今日から高校生の一人。 それなりの中学時代を過ごし、この学校へ来た。 ちなみに彼女は、昔一回だけ付き合った事があったくらい。 一人ピョンピョン飛びながら確認した俺は、1ーCと書かれた教室に到着。 ここが一年間お世話になる俺の教室。 緊張と喜びが混じった俺は、ドアを横にスライドさせた。 "キーンコーンカーンコーン" タイミング良く、初めての高校の初めてのチャイム。 そして俺の席を確認して早速落ち込む。 ど真ん中という何とも残念な位置に俺が座らなければならなくなった。 「あ、渉!同じクラスだねー!」 「よー渉、腐れ縁って怖いなー」 周りに視線をやりながらストンと腰を下ろすと両隣から俺を呼ぶ声。 右を向けば、そこには俺の数少ない親友 江夏楓(エナツカエデ) が笑顔で手を振っていた。 「おぉ楓…!同じクラスで良かった」 「うん!早く友達作っちゃおうね!まぁ…変なのいるけど」 ニコニコ少女は俺の左を指さす。言われるがままそっちを向くと 「うっす!」 見覚えのある顔が一つ。 「すみません。どなた?」 「おいおい最初だぜ!?もっと喜んでハイタッチでもしようぜ!?」 ムカつく程ギャーギャー騒ぐ馬鹿は、楓と同じく俺の親友。 瀬里野亮介(セリノリョウスケ) 俺のいた中学からこの学校に受験した一人だ。
/386ページ

最初のコメントを投稿しよう!