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「はーい、ここの作者の心境な、分かる奴手ぇ上げて、はいそこの眼鏡、お前何で分かるんだよエスパーかっつの」
飯が恋しくなる四限目。
眩しい日光をブラインドで完全シャットアウトした教室は、クーラーが効いている事もあってか心地良い眠気を運んでくる。
空腹と眠気で勉強する気なんてこれっぽっちも無いが、眠る気にもなれない。
(ああ、めっさ矛盾だわ俺)
その原因は、さっきから笑いばっかしとって一向に授業を進めない…つか進める気があるかも知れないようなこの教師だ。
「西の山越え、道は長いや、険しいや…」
ペラリとめくられた教科書には今奴が読んでいる文章が、面白みも無しに並んでいる。
何で国語教師の癖に白衣着てんだよ。
「その向こうに都がありて、私の望む場所がありて…」
何であんた俺にあんな事したの?
その疑問がぐるぐる頭の中で回るばかり。
アホみたいに悩みながら、気づかれるのも尺なので、盗み見るとパチリと目が合った。
それはほんのコンマ数秒の事だけど、何でこんなに胸が跳ねるのか。
「ああ、早く私を連れ出して下さい」
何で、笑うの。
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「にしても教科書に載ってる小説ってバットエンド多いよなー」
「…」
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