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「沖田と帰ったんじゃなかったわけ?」
ビルから出て直ぐ、壁に寄りかかっていた人物に俺は肝を冷やされた。
「アイツなら一人で帰った」
「今何時だと思ってんの、夜遊びも大概にしよーや、先生関心しないぞ」
【昨日】会った時と同じ格好で、俺の生徒土方 十四郎はこっちにゆっくりとした足取りで近づいて来た。
俺の言葉にちゃっかり眉を寄せながらな。
「ホストのあんたに言われたくねーよ」
「兼教師な」
あまり内容物も無い鞄を手に下げながら、何でもないように振る舞う俺。
今、何時よ?
早めに切り上げてきたとは言え、今は夜と言うより朝だ。
そして、驚いたようで妙に納得したコイツらが店をでたのは随分前だ。
その間ずっと此処で待ってたの?
お前はオープンなストーカーですか。
「それじゃあ、明日…ってか今日は休日だからまた来しゅッ!」
ヒラヒラと手を振って横を通り抜けようとした時、その手をいきなり掴まれ、近くの路地へ有無を言わせない力で引きずり込まれる。
「ッんだよ土方、俺は疲れて」
ダンッとビル壁に背中を押し付けられて、肺が跳ねた、一瞬息を忘れそうになる。
「黙れよ先生、いや先生って呼ぶ資格無いですよね」
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