5人が本棚に入れています
本棚に追加
「ん。失礼な。人の名前を馬鹿にするのは良くない事だよ。名は体を表す。この言葉を知ってる?」
「あ、悪い。気に触れたのなら謝るわ。アラヤ、ね。了解。俺は高峰 宗矢だ。取り敢えず……よろしく」
「うん。よろしく、ソウヤ」
漸く一区切り着ける事に成功した。笑みの意味は違えど、宗矢もアラヤと同じ表情をする。
「んでアンタは何で家ん中に居たんだ?」
「ここがこの街で一番心地好いと思ったから。扉は、開いてたよ」
一体何を言っているんだコイツは。
「は……? イヤイヤ、待て待て。その答えにどう納得すればいいのか分からんのだが。鍵はした筈だぞ?」
アラヤの奇怪な答えに頭が処理出来ず。宗矢の記憶では鍵を掛けた……………………否、掛けておらず。
「失礼な。ちゃんと鍵はしてなかったよ」
「やめて! 自分でも気付いたから居たたまれない! しかもそのちゃんとの意味は可笑しいぞ!?」
タオルで頭を拭きながら強引に掻く。羞恥心爆発だ。数秒前の、自信満々に鍵を掛けたと思っていた自分を殴りたい。
肩を落とし項垂れながら朝の出来事を思い出す。遅刻しそうになって、鍵をし忘れただけの話。
最悪だ。今日は厄日だ。宗矢は笑った。
「……それで? ここが心地好いなんてどういう意味で?」
最初のコメントを投稿しよう!