序章

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 ここは亜熱帯地方の河口汽水域、マングローブの海漂林。  呼吸根のうねりの中、小さなスペースがあり、引き潮の際に残った海水で池ができている。  そこは大型の潮招きや潮跳び鯊などのオアシスになっていた。  その池の辺に、硫化水素の煙に包まれて、ぷっかりと浮かぶ物体(生命体?)があった。  金色に輝き、見る角度によっては赤みを帯びた白桃色にも見える。  それは夜の訪れと共に少しずつ宙に浮かび上がってゆく。  月夜に照らされ、まるで何者をも拒むかのごとく、鈍く光り始めた、楕円形の、  尻が。image=269167223.jpg
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