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ここは亜熱帯地方の河口汽水域、マングローブの海漂林。
呼吸根のうねりの中、小さなスペースがあり、引き潮の際に残った海水で池ができている。
そこは大型の潮招きや潮跳び鯊などのオアシスになっていた。
その池の辺に、硫化水素の煙に包まれて、ぷっかりと浮かぶ物体(生命体?)があった。
金色に輝き、見る角度によっては赤みを帯びた白桃色にも見える。
それは夜の訪れと共に少しずつ宙に浮かび上がってゆく。
月夜に照らされ、まるで何者をも拒むかのごとく、鈍く光り始めた、楕円形の、
尻が。
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