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―――コイツとは敵同士ってのも悪くなかった。
でも、今の関係の方がもっともっと悪くねぇ。
「よぉ、オイ。クソモヤシ」
今回の一件を通じて、アタシは改めて自分の過ちを自覚し、深く反省した。
そしてその過ちを引き起こした原因の中でも最も大きいのはやはり、アタシが自分の気持ちを素直に表現できなかったことだろう。
正直じゃなくて。
素直になれなくて。
暴走ばかりして。
だからこそ、クソモヤシのことを分かってやれなくて。勘違いして。迷惑かけて。
それでも、あの馬鹿は全部受け入れて許してくれた。
「今、茜お姉さんは気分がいい。1回しか言ってやんねぇからよく聞いとけ」
高津茜は、反省した。
反省し、学んだ。
少しでもいい。
これからは、少しでもいいから素直になっていこう。
足踏みする必要なんて無ぇ。
コイツとアタシは、もう並んで歩ける程に対等な友人なんだから。
だから。
クソモヤシ。
なんつーか、ホラよ。
アタシ、嫌いじゃないぜ。テメェのこと。
「アタシ、好きだぜ。テメェのこと」
ボン、と奴の背中を叩く。
一緒に歩くぞという気持ちを込めて。対等に、並んで。胸を張って歩くぞという意思を伝えるために。
「これからも一緒に馬鹿やってくぞ。よろしくな」
後から聞いた話によると、この時のアタシも、残念ながら反省とは無縁の笑顔を浮かべていたらしいが、それはまぁ仕方のないことに違いない。違いないったら違いねぇんだ。
~fin~
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