回想

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いつのことだったか。 桜の花の香りを感じられるようになった頃,なつかいしい彼の地を訪れた。 だれもいない場所にあの人の存在を感じて,何百年も前のことを昨日のように思い出していたっけ……。 いつもなら,隣にいるあいつに今日は声を掛けないで,久しぶりに一人旅なんかしてみる。 春日山から望む上越の町は,今日も静かな時を刻んでいる。 もうあれから,幾度と無く訪れたけれど,いつも誰かが傍にいてくれた気がする。 直江だったり,長秀だったり,晴家だったり……。 オレは,随分長い間,たくさんの人に見守られて生きてきたんだなと,実感した。
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