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「とりあえず、名前教えてよ」
いつまでも、あんた、お前じゃやりにくいと思うのよね。
「自分から名乗るもんだろーが」
また、お決まりなことをいいやがって……。
怒りを覚えつつ、今回は素直にいうことにする。
「アカツキ、ジュン。純粋の純ね。純て呼んでよ」
「ふーん。俺はダテ、クロミツ。黒い光で黒光だ。適当に呼べ」
夏に黒光りて、嫌なもんしか思い浮かばないんだけど……。
とりあえず、
「光って呼ぶわ。それで、これからどうする?」
「とりあえず、俺を降ろせ」
上半身だけベッドに乗せ、携帯を持ちながら喋っていたが、気に食わなかったらしい。
携帯をベッドに置き、改めて聞く。
「これからどうする?」
「とりあえず、なんでこうなったか、だ。少し……気になることもある」
「気になることってなに?」
少し、沈黙した後、光は暗い声で言う。
「ところどころ記憶がないみたいなんだ。こうなる前のことは勿論、他にも思い出そうとすると胸が痛くなる……。それに、弟のことも心配だ……」
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