君を

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指差す方向を見る。 全然違う女。 お前、馬鹿か。 全然違うじゃねぇか。 あの子はボブなのに、毛先が癖毛のせいではねてるんだ。あんな、茶色の髪じゃなくて、真っ黒。肩くらいの長さ。 お前、そんな区別もつかねぇの? また、君の方を見る。 君は、やっと鞄から手を出した。 探し物は携帯だったのか……。 君は携帯を触って歩き出す。 目の前に信号があると気づかずに。 「っぶねぇッ!!」 いつのまにか走り出してた。 君が危ない。 守らなければの一心で――――………。 「ちょっ!?兄さんどこいくのさ!!」 車のクラクションが鳴り響く。 周りがざわめいた。 悲鳴を上げているみたいだ。 そんなの、どうでもよくて、 ただ、君を、必死で突き飛ばした。 .
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