花火

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とりあえず、浴室へシーツを引きずりながら浴衣を抱えていく。 裸に浴衣を羽織る。 自分の体なのに鏡張りの壁にうつる私は私ではなくとても官能的で 美しくなったように見えた。 とある時代のおいらんのように 数多くの男に愛されはかなく散る桜のような女 でも私はたった一人の男でいい。 永久に手を引いて歩いてくれる人。 その男は…… ホテルを出て家に帰る。まだ朝早いせいで、出会う人も車も少ないのに救われた。 でも周囲が気になり落ちつかず、スースーして歩きにくい。 「スースーするぅ」 紘平のTシャツの裾を掴み 首を傾げて訴える。 「…甘えてもダメ! でも、こんな那智を見るのもいいねぇ。かわいい。」 笑いながら胸元に手を伸ばす。 「きゃっもう、や・め・て」 と紘平の手を押し戻した。完全にからかわれてる。  
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