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「ってかどうしたんだよ、帽子なんか被っちゃって」
「……うるせぇ」ツン
弘樹に指摘されたキャップの鍔を抑えて深く被る。
これにふれるな馬鹿が。
「可愛い"耳"見せてよーっ」
「嫌だ、断る」キッパリ
「んだよ、いいじゃん。帽子なんかとっちゃえよ」ブーブー
「触んな馬鹿ッ!!」
キャップをとろうと伸びてきた弘樹の手をパチンと叩く。
弘樹が言った"耳"。
これは絶対に見られる訳にはいかない。
これから始まる高校生活は
一応俺の新たな人生の始まりだし。
晴嵐高校に入学するにあたって
唯一嬉しいのは地元の高校じゃないから小・中学校の友達がいない事。
まぁ弘樹は別。
こいつだけは何故か親に頼み込んで地元から遠く離れた晴嵐高校を受験したらしい。
「あ、やべッ!あと10分で入学式始まるし!!走るぞッ!!」ワタワタ
「えー…」
時計を見た弘樹は慌てて俺の腕を掴んで走り出す。
俺…入学式サボる予定だったのに。
弘樹変なとこ真面目だからな。
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