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帰宅。
あっ亮太のやつ置いてきちまったな……確信犯だが。
おっとそういえば自己紹介がまだだったな。俺の名前は下野悠。
桜高校一年だ。
俺は正直特に取り柄がある訳でない。
けれど、特別何かできない事もない普通な野郎である。
で、一緒に帰ってたのが坂口亮太だ。
本当に長い付き合いであり、奴には色々と恩がある。
憎らしい事に顔はそこらのアイドルなんかに負けない質なんだよな。
そして、重度の馬鹿だ。
高校に受かったのが奇跡なくらい。
まぁ頭は人の事言え……
ピンポーン、ピンポーン
「誰だ? こんな時間に」
ちなみに俺は小さい時に両親をなくして一人暮らし。
ま、詳しい事はまた語る日がくるかもしれない。
ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン
「ってうっせぇ!誰だよ!」
勢いよくドアを開けると
「あんたがなかなか出てこないからよ!」
「悪ぃ悪ぃ。ちょっとな」
「ふ~ん」
こいつは幼馴染みの八田恭子である。
いつも明るくて元気だ。
実はあの変態な亮太君を小学校の時から一途に想いつ「ち、ちょ、ちょっと……今日はいい天気よね!」
「もう夕方だぞ……で、用件は何だ?」
チッ、最後まで言えなかったじゃねぇか。
「ゴ、ゴールデンウィークあるじゃん。そ、それ……でね」
「で、亮太とどっか行きたい訳ね」
無駄に照れる恭子。
恋ねぇ。
「分かってるじゃん。流石!」
「あー、えっとな……亮太多分行けないわ」
「ど、どうして!?」
「来週のテストが赤点だとGWなくなるらしくて……な」
「えー!ちょっと!何とかなんないの?」
何とか……か。
そうだ。
いい事思いついちまったぜ、流石天から才を授かった俺。
「お前が亮太に今日から付きっきりで勉強教えればいいじゃん」
「あ、そっか!その手があったわね!ありがと」
嬉しいのかピョンと、とび跳ねている。
「早く行ってこい!」
「うん、バイバイ」
恭子の後ろ姿を見送り――
「ぷっ、哀れな亮太よ。テスト勉強なんておぞましい物を強要されるなんて思ってもいないだろうな」
φ
「ヘクシッ…… ブルブル 誰かが噂~女の子?」
全く気づかぬ亮太であった。
φ
「ふわあーあ、寝るか。GWに寝れないとは、地獄だな」
勉強をする。
という発想が浮かばない悠君でした。
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