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窓から差し込む光がまぶしく悠は目を覚ました。
見慣れた自分の部屋。俺は上半身を起こした。
「……ん?」
何気なく左手をベッドの上に置いた時何か違和感を感じた。
ベッドにしてはゴツゴツして……
布団をどけると俺のベッドに男が寝ていた。
そう、ピチピチの15歳亮太君だった。
「うおぉぉい!?」
東京、博多間を走る特急列車のぞみ号のごとく瞬時に亮太をベッドから突き落とす。
「ふんがっ?」
「ふんがっ?じゃねぇよ!! お前何で俺のベッドで寝てる!? ってかどうやって家入った!?」
「まぁ待て待て。 俺は一人だから一度にそんなには答えられんさ」
「じゃあゆっくり聞かせてもらおうじゃないか」
「まぁ話せば長くなるんだけど……」
「話せ」
「悠が恋いしくて!」
「とんでもなく短ぇじゃねぇか!ってかお前はゲイですか!」
「実は―― ってか時間時間」
亮太はそう言い、時計を指す。
「んなのはどうでも…… ぬがっ!!」
時計が指している時間は8時30分。
「今日テストだぞ!! 急げ」
「それなんだよ。恭子がいきなり俺ん家にき――」
亮太は感慨深そうに腕を組みながら幸せな勉強話を話し始める。
「そりゃ大変だったな」
「まだ言ってませんよ!」
「速く行くぞ」
俺たちはその後猛ダッシュをし、何とか学校には遅刻せず間に合う事ができた。
まぁ何ていうか勉強なんかしてねぇ俺がテストなんか分かるはずもなく開始数分で机に突っぷすことになるのであった。
さらば高一のゴールデンウィィィークぅ~!!
追伸。
亮太は予想通り恭子からの拷問に似た勉強漬けを強いられ、何とか赤を免れたそうだ。
φ
だが、この時、この瞬間に運命という名の光がゆっくりと俺を導き始めていたのかもしれない。
この桜舞う季節、俺のテスト。
この二つが俺を変えるきっかけとなったのだろうか。
それは分からないが、ヒラヒラと舞う桜。
そのゆっくり、ゆっくり、とした桜の花びらが俺の道標のように感じたのは帰り道のことであった。
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