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~裕太side~ 俺はあれから 最期の時を楽しもうと 少しでも気分がいい日はなるべく部屋の外に出て 他の患者さん達と話をしたり 中庭で絵を描いたりするようになった。 今日も、太ちゃんに頼んで車椅子を中庭に出してもらった。 すごく、空が澄んでて綺麗だったから 描きたいなって思って。 「あ、裕太~」 しばらく描いていると、俺の名前を呼ぶ 生意気な声が聞こえてきた。 「高嗣」 俺を呼んだのは、井坂高嗣。 悪性リンパ腫で入院している18歳だ。 「何描いてんの?」 高嗣さまじまじと 俺のスケッチブックを覗き込んだ。  
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