異変

6/10
前へ
/250ページ
次へ
~渉side~ 裕太に起こった異変を 守口さんに聞かされた俺。 今は落ち着いたって言ってたから 部屋に行ってみると そこには先客がいた。 「太輔…。」 「渉くん…」 名前を口にすると、その人は振り向いた。 「起きてて、体平気なの?」 「俺は平気。今は裕太の方が心配。」 太輔は、俺の言葉を聞いて裕太に視線を戻した。 「裕太、震えてたんだって?」 「…うん。高槻くんが目を離した隙に急に来ちゃったみたい。最後に“助けて”って呟いて気失ったらしい。」 「助けて、か…。裕太、突然震えが来たから相当怖かったんだろうな。」 「そうだと思う。ここに来てから、怖い体験なんてしたことなかったからな。」 そこで言葉を切ると 裕太のさらさらした髪を撫でながら “気づいてやれなくてごめんな”って 太輔は何度も謝っていた。  
/250ページ

最初のコメントを投稿しよう!

174人が本棚に入れています
本棚に追加