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~渉side~
裕太に起こった異変を
守口さんに聞かされた俺。
今は落ち着いたって言ってたから
部屋に行ってみると
そこには先客がいた。
「太輔…。」
「渉くん…」
名前を口にすると、その人は振り向いた。
「起きてて、体平気なの?」
「俺は平気。今は裕太の方が心配。」
太輔は、俺の言葉を聞いて裕太に視線を戻した。
「裕太、震えてたんだって?」
「…うん。高槻くんが目を離した隙に急に来ちゃったみたい。最後に“助けて”って呟いて気失ったらしい。」
「助けて、か…。裕太、突然震えが来たから相当怖かったんだろうな。」
「そうだと思う。ここに来てから、怖い体験なんてしたことなかったからな。」
そこで言葉を切ると
裕太のさらさらした髪を撫でながら
“気づいてやれなくてごめんな”って
太輔は何度も謝っていた。
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