306人が本棚に入れています
本棚に追加
「ちーっす」
教室の扉を開けるといつもの5人組が机を集めてグダグダと雑談をしていた。
「あ、オハヨー!晴!」
真っ先に晴に気付き挨拶をして来たのは、ムードメーカーの杏也。
「おはよーって言うか……もう、こんにちはの時間だけどね?
……晴、こっちから散々メール送ってるんだから返事くらい返しなさいよっ!」
杏也に軽いツッコミを入れ、晴にギャーギャー文句を言っているこのしっかり者が明。
「どうせ、ここ来るつもりだったんだからメールしなくても一緒だろ?」
そんな意見に明がまた何かギャーギャーと騒いでいたが、晴は無視してその辺にあった椅子に腰を下ろす。
「お疲れ様、今日は珍しく歩きだったんだね。」
座った所から1番近くにいた泉水が話し掛けてくる。
「まぁ、部屋にこもって勉強ばっかりしてたからなぁ……たまには、歩いた方が良いと思ってな。」
「でもさ、ここにいるメンバーってあんまり率先的に体を動かそうとかしないよね?」
「あー…確かにな。
部活に入ってるヤツが1人もいないって時点で末期だな。」
「ちょっと!もしかして、私の存在忘れてる!?」
晴の言葉に飛び付くように会話に参加して来たのは杏也の彼女の紗奈だった。
「あー…そういえば、このメンバー唯一の部活参加者だったな?忘れてたわ」
「え゛っ!?」
「だって、お前ほとんど部活参加してなかっただろ?コンクールとか文化祭の前だけ少し行くくらいで」
「ま、まぁね。
新入生から成績優秀な幽霊部員って言われるくらいだったから」
ここで再び明が会話に参加して来る。
「でも、部活の成績のおかげで推薦貰えたんだもんね?」
「うんっ!」
「なんか、詐欺みたいだな。」
「ちょ、ちょっと人聞き悪い事言わないでよ。推薦って言ってもちゃんと実技はあったし……」
「あ!そうだ推薦で思い出したんだけど……」
紗奈の話を無視して晴が急に話を切り替える。
「えっ!?私の話はスルーなの?」
「紗奈、少し静かにしてて。
それで思い出した話って何?」
最初のコメントを投稿しよう!