プロローグ

2/6
前へ
/60ページ
次へ
ある日、青い髪と釣りあがった青い瞳をしていて、白いYシャツと群青のズボンを履いた青年が町へとやってくる。 背中には黒いリュックを背負っていた。 「ほぅ…いい町じゃないか」 大きな道の両端に3階立ての家や店が並んでいる。 そして道には人が沢山歩いており、まるで波のようになっていた。 「さて…水と食料を調達するか」 パンやソーセージ、ウィンナー、そして野菜など色々な食べ物を買っていく青年。 肉や野菜は旅の食料に不向きなようだが。 この世界の食べ物は魔法で食物の周りを冷気で覆って保存している為長持ちする。 袋や瓶に保存用の魔法をかけると、開けるまでその効果が持続するとの事。 旅をしたいなら、誰もが覚えておきたい魔法だ。 「ん…?何だ?」 青年が買い物をしていると、2人の人物が人々に追いかけられているのを見る。 追いかけられているのは少年と少女だった。 「待てー!混じり者めー!」 「おねぇちゃん早く!」 「ハァハァ…う、うん…!」 混じり物…それは人間と魔物が混ざった人種で。 姿は人間だが目は魔物特有の、眼の虹彩に赤い線が横に入っている瞳をしている。 「おいオヤジ、ここも差別とかあるのか?」 青年は店屋の主人に質問をした。 「ああ、あいつら目は魔物の癖に人間の姿してるから、気持ち悪くて俺も嫌いだな」 「そうか…で、捕まえたらどうするんだ?」 気持ちが悪いだけで差別しているという事を聞くと、青年の目つきが鋭くなる。 「いつも檻に入れて、食い物も与えずに餓死させてる」 何も悪い事をしていないのにそんな事をするなんて、昔に自分がされた事を思い出す。 「オヤジ、お釣りは後で取りに来る」 突然彼は店主にこう言って、食料と水をリュックにつめて走っていった。 「え!ちょっ…行っちまった…」 青年はさっきの2人を追いかけに行ったのだろう。
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!

43人が本棚に入れています
本棚に追加