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俺の目は、始め両目見えなくなると言われていた
疱瘡で突き出した眼球は産みの親までが見放した醜い様だった
切ったところでもう片方の視力が残る可能性も低い。腐った俺を見兼ねてかその手でそれを強行したのが小十郎だったらしい
幼かった俺には本当に少しの記憶しか残って居ない
「なぁ、成実」
「なんだい?」
「お前って…俺のいとこ、だよな?」
「…どしたの、急に」
「いや、一応血つながってんなぁと思ってよ」
「そりゃあ…まぁね」
「…熱なんかねぇよ、ただ…」
己の額に添えられた相手の手をはねのけながら、思考を巡らす
「ただ?」
「いや、わりぃ何でも無い。気にすんな」
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