1.彼女はライオン

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 朝起きた時に、見知らぬ美少女が目の前に居たら誰だってこう思うだろう。   「なんだ夢か」 「ええその通りよ」    夢に夢だと太鼓判を押される。これほど信頼の置けるものは他に無いだろう。    そう例えば……。   「ライオンに、お前はライオンか?」 「ええその通りよ」 「と聞いて、ええその通りよと言われる……え?」    美少女は真っ直ぐな視線を僕に向けたまま、柔らかい笑顔を向けて居る。   「今なんて?」 「ええその通りよ」 「それは何という質問に対して?」 「お前はライオンか?」    つまりこういうことか 「君の名前はライオンか?」 「ええ、私はライオン」    これは夢にしてもたちが悪い。   「今日はヤンデレで行こうと思っているの。 頑張ってね」  いったい何を頑張れば良いのか。    とりあえず自称ライオンは放置して、制服に着替えて、部屋を出る。ライオンは当たり前のように僕の後ろを着いて来る。        朝食の風景なんて、説明する必要なんて無い位ありきたりだ。  しいて説明するなら、我が家はご飯派だ。    リビングへと入ると、父は既に出勤した後のようで、かあさんがキッチンに立っている。   「おはよう、かあさん」 「おはよう、あきら、ライオンちゃん」    ん?  ちょっとまて、何故母がこの夢電波美少女の名前を知っている?  いや、夢だから知っていても不自然は無い。夢とはなんの脈絡も無い事が起こる物だ。
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