15人が本棚に入れています
本棚に追加
何故かライオンは僕たちと同じ教室に入り、何故か僕の隣に座った。
たしかその席は空席だったはずだ。なのに今ライオンが座り、誰もそれに疑問を感じて居ない。
さすが夢だ。
やがて朝のホームルームが始まり、授業が始まる。ライオンが居る事以外は至って普通だ。夢の癖にやけにリアルだ。
そして気付いた事が有る。
ライオンは天才かも知れない。
数学で、式無しで計算を解き、先生に式を書くよう迫られると。
「何故式が必要なんですか?間違いました?私」などとまくし立てる始末だ。
ライオンの才能は調理実習でも遺憾なく発揮され、その日の課題も、先生が舌を巻くほどのチーズケーキを作って見せた。
僕とリカも食べたが、それは絶品だ。舌の上でとろけ、チーズのまろやかな酸味が口一杯に広がる。ケーキの表面はクッキー状になっていて、その歯触りも楽しめる油断の無さだ。
夢だからライオンはご都合主義なのか?
そうこうする内に、昼休み。
僕、リカ、カミヤ、そしてライオンは弁当を食べる為に屋上に集まった。
弁当はリカの手作りで、いつも僕の分まで作ってくれる。
「ありがとうリカ、さすが僕の嫁」
「はいはい、そうね」
僕が弁当箱を開けると、そこには宝の山が広がって居る。
「おいしそうなエビフラ……」
突然ライオンが立ち上がり、それに引っかかった僕の弁当が宙を舞い、逆さまに地面に着地した。
「……ごめんなさい」
これ見よがしに、耐熱温度やら耐冷温度、ポリなんとかとか、使用上の注意と、安全性の目印JISマークの書かれた底の部分を晒し、僕の弁当は死んだ。
最初のコメントを投稿しよう!