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「なんて事をしてくれたんだ君は!」
顔が熱くなり、僕は立ち上がってライオンに目線を合わせ、睨んだ。僕が睨んだからって迫力が有るかは知らないが、コイツはわざとやったに違いないんだ。
「わざとじゃないわ!」
わざとらしい言い訳をして、泣きそうな芝居をするライオン。僕はそんなライオンが嫌いになった。今まではただの変な夢電波美少女だったが、今は酢豚のパイナップルよりも嫌いな存在だ。
「あきら、止めて、お弁当位で怒らないで!」
リカが僕の腕を掴み止めようとする。リカは僕が悪いというのか?悪いのはライオンじゃないか!
「あきら、お前らしく無いぞ」
僕は、カミヤの言葉で我に帰った。
リカが僕を止めたのは、いつもの僕じゃ無かったからだ。なのに僕はリカに酷い事を考えてしまった。リカは何も悪くないのに。
「ごめん、リカ」
「ううん、私は良いの。
お弁当はまた作れば良いじゃない。
明日はもっと凄いお弁当作ってくるから」
本当にリカは優しい女の子だ。
「駄目よ、あきらのお弁当は私が作るんだから」
抑揚の無い声がやけにハッキリと耳に入った。ライオンの声だ。
「だからリカ、あなたは明日、自分の分だけ作れば良いわ」
喜怒哀楽、人間の表情はほとんどの場合どれかの状態に居るのだけれど。今のライオンの表情は、その全てを微塵も感じさせない顔をしていた。
「そ……そう、分かったわ、ライオンさん」
リカが頷くと、ライオンの顔が溶け、笑顔になる。
「ごめんね、リカ」
やっぱりコイツはわざとやったんだ。本当に大っ嫌いだ。
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