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メンバーの連中が控え室から顔を出し、その様子を見ていた。
「うっしっし!連れて行かれちゃったよ…奴」
「あ~あ羨ましいな。あんな美人と一緒に歩いてみて~」
6人のメンバーが一斉に顔を出したもんだから、下の奴は耐え切れず廊下に将棋倒しになってしまった。
翔は、後ろを見て見ぬ振りをした。楓少尉も、その騒がしさに後ろを振り返った。
チームメンバー達は、愛想笑いと共に手を振っていた。それに、楓少尉も手を振り返す。
「お~!」
歓声と共に人間ピラミッドが、崩れる音がした。
「平気かしらね…あの子達…」
「まあいつもの事ですから。気にせんでやって下さい」
休憩室に着くと、1人の軍人が腰に手をやり飲み物を飲んでいた。
「後藤大尉連れて来ました!」
楓少尉が敬礼をした人物が、自販機でジュースを買いながら呟くように言った。
「ご苦労様少尉…、不知火君だっけ?まあ一杯どお?」
後藤大尉は、冷えたジュースを翔に手渡した。翔はそれを受け取りざまに答えた。
「あっ…ありがとうございます!」
後藤大尉が唐突に話しかける。
「不知火君…今確か17歳だよね?」
「そうですけど…何か問題でも?」
そう言いながら翔は、ジュースのプルトップに手をかけた。
「いえいえ…別に問題はないんだが…。ひとつ聞いてもいいかな?君は、戦闘機とかM.Aとかに興味はあるかね?」
翔がジュースを飲みながら、その質問に答えた。
「無いと言えば嘘になりますけど…。今はストリームに夢中なんで…」
「まあ今直ぐとは言わないが…もし興味があるなら、私を訪ねてくればいい…。まあ率直に言うと君の力を我がAre forceで役立てて欲しいんだ」
翔はその意図を察知し、軽く受け流すように答えた。まだ、その意志が固まった訳ではないからだ。
「要するにおじさん、スカウトに来た訳だろ?」
そのあまりにも常識のない答え方に、楓少尉が半分切れ気味に言った。
「おじさんって…あんた大尉に向かって…」
それを宥めるように、止めに入る大尉。
「いいんだ楓少尉…。まあそう言う事だ。もし来てくれたら、最新鋭のM.Aに乗せてやる!」
翔は、興味なさそうに答えた。今興味津々に答えると、つけ上がられそうだからだ。
「M.Aって…空軍にM.Aなんて聞いてないぞ!陸軍、海軍なら知ってるけど…」
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