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「わかりました。今向かいます」
「了解待ってるよ」
翔は急いでゲートに向かう。ゲートまでくると検問所の見張りに、大尉に言われた通りに話した。警備員は、すんなり中へ入れてくれた。
そこへ携帯が鳴った。
「もしもし…こちら後藤です。不知火君入れたかね?」
「はい、すんなりと」
「そのまま右に曲がり、寄宿舎まで来てくれ。すぐに見える建物がそうだ」
「わかりました大尉」
歩いて行く先に、三階建ての建物が見える。左前方には格納庫が、その横は滑走路となっていた。
2機程のFSー2X戦闘機が、爆音を響かせ滑走路を飛び立って行くのが見える。
残暑の残る東京の滑走路に、陽炎が立つ。
1機の見慣れない機体が、格納庫から出されてるのが見える。
(あれか…新鋭機は…)
横目でそれを見ながら、寄宿舎の前まで辿り着いた。
中に入ると玄関で後藤大尉が、出迎えていてくれた。
「おうよく来たね!さあ中に入って」
後藤大尉に連れられ、応接室のような所に入った。
後藤大尉は、奥のシンクで何やら物音を立てて作業をしていた。
しばらくすると、温かい入れ立てのコーヒーを持って大尉が現れた。
「まあコーヒーでも飲んで、ゆっくり話そう」
大尉の顔はよほど嬉しいのか、口元が少しほころんでいるのがわかった。
「見たかね!さっき…」
「ああ…見慣れない機体がありましたけど…あれなんですか?新型M.Aって」
「ああそうだ!今訓練中なので出払ってる所だ」
「見た目M.Aには見えませんが…。現存のFSー2XやF-135等と、ほぼ同じように見えましたよ」
「はははっ、ところがドッコイ…まあ説明するよりは直接見た方が早い。百聞は一見に如かずってね。そろそろ訓練飛行から帰ってくる頃だ。滑走路に向かおう。ついてきな」
後藤大尉は、コーヒーを一口飲むと席を立った。翔もそれに続いた。
滑走路を歩いていると、向こうの空から1機の戦闘機が飛んで来るのが目に入った。
その機は基地上空を旋回すると、着陸体勢に入った。コクピット下部と両翼辺りから、タイヤが出てくる。
機体は高度を下げ、滑走用の車輪を地面に着けた。
耳をつんざくようなブレーキ音と共に、戦闘機は動きを止めた。エンジン部がまだ温かい為、陽炎が浮かぶ。徐々にエンジン音が小さくなり、そしてエンジンを停止させた。
「おっドンピシャだな!丁度少尉が帰って来た」
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