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「えっ!?少尉ってあの少尉ですか?」
「ああそうだよ…君の知ってる楓朋美少尉だ」
「彼女パイロットだったんだ…」
機体に近づく大尉と翔に、キャノピーをスライドさせた中のパイロットが、手を振ってきた。
パイロットがメットを脱ぐと黒く長い髪が、風に煽られなびいた。やはり少尉だった。
少尉が梯子に足をかけ、降りてくる。パイロットスーツでピチピチになった下半身は、子供の翔でもそそられる物があった。
陽炎の向こうからスレンダーなボディをくねらせ、彼女がこちらに近づいてくる。そして、大尉と翔の目の前にくると敬礼をした。
「只今訓練を無事に終え、帰還致しました後藤大尉!」
後藤大尉も軽く敬礼をする。
「ご苦労楓少尉」
楓少尉が今度は、翔の方を見た。
「来たのね不知火君」
「はい!どうしてもあの言葉が気になって…」
「楓少尉…何を言ったんだい?」
「大尉それは…魔法をかけたとでも言っておきましょうか。ふふふ…」
「へえ…魔法ね…」
翔は早速、最新鋭の機体を見せて貰う事にした。
「楓少尉、準備はいいかね?」
「はい大尉」
返事と共に機体が宙に浮く。それも垂直に…。
「驚いたかね、不知火君。この機体は垂直離着陸も出来るVTOL機だ。更に驚かせて上げよう」
機体のジェットエンジン部が下部に折れ曲がり、足のような物が出てきた。更に機体の一部両翼の付け根辺りが剥がれるように下に垂れ下がり格納してある手が伸びて、終いにはそこに頭部が現れ人型となった。
機体はジェットエンジンを吹かしながら宙に浮く。そしてゆっくりと地上に降りたった。着地と同時にエンジンが切れる。
「凄いだろ?これがFS-EⅠだ!Eはエボリューションを意味する」
「すっすげ~!」
翔は眼を見開き、興味津々のようである。
「水中を除き、ありとあらゆる地形で活用できる」
「凄いっす!」
「どうだい?やる気出てくるだろう」
「はい!なかなかの物ですね」
「どうだい?乗ってみるかい」
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