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電話はコール音がしばらく続いたあと、繋がった。
「……………」
無言。
怒っている証拠だ。
水玉のパジャマに、水玉の三角帽子(ポンポン付)をかぶって寝ているという彼女は、電話越しにはっきりとわかるほどに、不機嫌だった。
「やっほ☆」
「………………ちっ」
夜中まで起きてたせいで変なテンションになっていた僕は、彼女の怒りを大いに買いしてしまったようだ。
このままだと、おそらく切られてしまう。
そう思った僕は、理由を正直に告げようか少し迷っていると。
「…………あんたまさか寝付けないとか言うわけ?」
彼女が、獲物を嚇すクマのような唸り声で尋ねる。
正直に話す云々の前に、当てられてしまった。でんじゃー。
しかしよくわかったもんである。
年上の幼なじみって怖い。
少し間が空く。
すると彼女は、はぁぁぁーとなにかを諦めたような、それでいて悟ったような、曖昧なため息をついた。
「………貸し、一つだからね。わざわざあたしから眠りを奪ったことを後悔するといいわ。」
さっきと真逆に、鈴の音のような声で彼女は言った。
「貸し」とはたいぶ高くつきそうだが、その声音に僕は寒さを忘れた。
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