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そんな魔法文明衰退の世にあって、しかしとりわけ多大な恩恵を精霊より賜って生を受ける者たちが存在した。
魔法行使者――俗に〝魔法使い〟と呼ばれる人種である。彼らは身体を流れる生体エネルギーを魔力に変換することのできる特殊な器官を生まれつき授かっていた。
そうすることによって世界に干渉するに足るだけの魔力を自ら生成し、魔法を行使することを可能にしていた。
貴重な人材だけに、ある意味当然の話ではあるが、魔法使いたちはとても重宝された。特にも軍事方面でその傾向は顕著であった。
彼ら人間族はもはや泥沼と化しつつある他種族との戦を長く続けており、戦闘力に特化した魔法行使者が重要視されるのも無理からぬことであった。
そういった背景もあり、少しでも軍の強化を促す目的のため、魔法使いを育成する機関が急速的に整備されていくこととなった。
とはいえ、魔法行使者たる素養を持つ者自体がそう多いわけではないため、人間の領土圏――すなわちここ、ラザリア王国全土を探したところで魔法学校と呼ばれる施設は非常に少ないというのが現状なのだが。
件の少女が身にまとっているのは、そうした希少な魔法学校の内ひとつの制服なのだった。
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