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『ねえ、ってば』
身体をさする。
逆立った体毛に絡み付いている砂が、掌に当たる。
いつからここにいたんだろう。
『きみ、どうかしたのかね?』
突然、話しかけられて、僕は声のした方にゆっくり視線を向ける。
僕の右斜め後ろに立っていたのは、杖をついたおじいさん、だった。
『そんなところにしゃがみこんで。気分でも悪いのかね?』
少し長身の、白髪白髭のおじいさんは、優しく目を細めた。
『あ…黒猫…』
僕は答えた。
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