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黒猫の身体に土をかけ終えると、おじいさんと目があった。
『私はね、輪廻を信じるよ。もう私の命も長くない。今きみと出会えたのも、きっと何かの巡り合わせだ』
『…来世でも、こうやってお話しできるでしょうか?』
『握手をしよう。また、どこかで逢えた日のために』
しわしわの、おじいさんの手を握った。それは思ったより柔らかく、そして暖かかった。
僕はなんとも言えない、不思議な気持ちになる。
喉の奥が、ぐっと鳴る。
輪廻とは、
今は生きている僕にとってそれはわからないことだし、はっきり言えば実にどうでもいい。
でも、
なんだか、切ない。
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